トリチウム

2021.04.19

その他

福島第一原発の処理水海洋放出決定に伴い様々な議論が巻き起こり、特に中韓が強く抗議、反発しています。
処理水をめぐる大きな争点の一つが、処理水に含まれる「トリチウム(三重水素)」という放射能性物質です。
実はトリチウムは宇宙線が大気に衝突すると生まれるため自然界に大量に存在しており、世界中の原発以外にも雨水・海水・水道水にも含まれいて、毒性も非常に弱いことが科学的に確認されているため、世界中の原発からも日常的に排出されており、実は特別なものではないという現実があります。
次に処理水のトリチウム含有量の比較です。
福島第一原発の海洋放出する処理水のトリチウム含有量は約860兆ベクレルと公表されていますが、カナダのブルース原発は年間1971兆ベクレル、フランスのラ・アーグ再処理施設は年間1京3700兆ベクレル、韓国の月城原発は年間136兆ベクレルと公表されています。
但し、福島第一原発の処理水はそのまま海洋放出するわけでなく、国の基準値の40分の1、WHO飲料水基準値の7分の1に希釈した上で年間最大約22兆ベクレルとし、複数年に渡って放出するものとしています。
要は福島第一原発の海洋放出する処理水のトリチウム含有量は突出しているわけでもなんでもなく、世界的な比較からは最低レベルのものとなります。
単純に処理水=放射能汚染水の海洋放出だけを切り取れば、感情的にもほとんどの人が反対でしょうが、現実的に処理をするしかない状態下においては、先ずはデータを正確に把握した上で議論する必要があります。
今回の報道を機に、データは客観的な判断には必要不可欠なものだと改めて痛感しています。